ア イ メ イ ト 後 援 会 つ う し ん

03:アイメイトの生涯[成長編]〜飼育奉仕者を訪ねて
(文:編集スタッフ)
プロローグ
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僕が物心ついた頃、知らないおじさんがやってきて、僕たちの耳に入れ墨(※)をしました。これで僕たちは、アイメイト候補犬というレッテルを貼られました。でもそれが何を意味するのか知る由もなく、毎日、兄弟姉妹とスッタモンダの大騒ぎをして、楽しい日々を過ごしていました。そして生後2カ月目のある日、事件は起こりました。優しそうなお姉さんがやってきて、僕たちはケージに入れられ、車が止まるたびに兄弟の数が減っていきました。これが、僕たちの第二のふるさとでの生活の始まりでした。
……1年数カ月後……久しぶりに顔を合わせた兄弟姉妹は、別犬に変わっていました。おとなしかった長男は、大家族の中でもまれて、たくましい男になっていました。気の強かった長女は、夫婦二人の間でわが子のように溺愛され、甘ったれになっていました。おっとりしていた僕は、相変わらず、のんきなまんまです。
と、こんな光景が繰り広げられているかどうか……小さな可愛い悪魔?が繰り広げる成長編のはじまり、はじまりです。
今回は、この4月から後援会の会員になられたお宅と、数少ないシェパードを飼育中のお宅を訪問させていただきました。7頭の飼育経験をお持ちの深川喜久子さん(飼育中の候補犬はラブラドール・牡・6カ月のマリンバ君)。5月から飼育をはじめられた渋谷京子さん(同、ラブラドール・牝・3カ月のゲイルちゃん)。9頭の経験をお持ちの松本さかえさん(同、シェパード・牝・6カ月のバロータちゃん)。まずは、候補犬たちに話を聞いてみることにしました。
(※)入れ墨:生後40日頃、生まれた西暦2桁と、その年の生まれた順番の2桁、合計4桁が入ります。
皆さんは、どのような毎日をお過ごしですか?
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マリンバ 僕は、朝のあわただしい時間が過ぎ去った頃、ふぁーーと起きます。7時頃です。そして、食事の前の朝の散歩。鎌倉の自然の中をお母さんと1時間ほど、花や鳥に朝の挨拶をして歩きます。散歩後の朝食は最高! 日中はお母さんのお手伝いをしたり、お昼寝をしたりします。5時過ぎには僕のお友達が散歩のお誘いにやってきます。仲間と楽しい散歩です。マナーを守らないと厳しいチョークが入ります。だいたい毎日2時間程度。これもお母さんが話に夢中になると3時間にもなります。そして夕食のあとは、もうひと遊び。遊び疲れると「こんな僕って幸せ!」と思う間に寝てしまいます。
ゲイル 私は、朝、目がさめると隣に寝ているお母さんの咽に私の咽を重ねてもうひと眠りします。 「くるしい〜!!ゲイル」と言うお母さんの声で起きます。お母さんが起きると嬉しい朝ご飯です。ご飯が終わると、元気がモリモリ湧き出て、家の中を走り回ったり、悪戯してお母さんと鬼ごっこを楽しみます。(ワクチン前なのでお外に 出られません。)私が疲れる前に、お母さんの方が先に疲れています。ワン(オシッコ)もツー(ウンチも3日で完璧に覚えた私は、近所のおばさんからも天才と言われています。 遊んだ後はお昼寝です。そして目が覚めるとお昼ご飯の時間で(まだ3食)食事が終わるとまた元気が出てきます。遊んでは、寝て、食べての毎日です。早くお外に出たいな!
バロータ 私は、6時半頃、お父さんとお母さんに「おはよう!!」のピョーーンで1日が始まります。朝食をさっさとすませて、お父さんを駅まで車で送って行きます。20分位のドライブの後は、朝のお散歩!! バロータはお花の名前ですが、私は花よりダンゴです。お散歩が終わると、後は、お昼寝。でも私には「シレツな戦い」があります。孫の玲君(2才)とのお母さんの取りっこです。いまのところ私の方が優勢です。夕方5時過ぎにはお母さんとの楽しいお散歩!! 近くの雑木林の探索や、犬仲間にご挨拶したり、アッという間に1時間が過ぎてしまいます。お腹がペコペコで帰って来ます。が、夕食前の「我慢」の練習が待っています。「ツライ!!」でもちゃんといい子でいると美味しいご飯を頂けます。お腹が一杯になったら、ウトウト……。 「バロ寝ますよ!」というお母さんの声で飛び起きてお母さんたちの寝室に入れてもらいます。
……と、こんな毎日が各飼育奉仕のお宅で繰り広げられています。 犬の成長に合わせて、生活のリズムも変わります。大型犬を育てるという、とても体力のいる生活ですが、犬から沢山の力(敵歩で丈夫な体、疲れた心の慰め、会話の弾む犬仲間など)をプレゼントされているそうです。今回は、飼育奉仕について知って頂きながら、「アイメイトの成長編」をお伝えいたします。
飼育奉仕を始めたきっかけを教えてください。
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深川:当時小学生の子供からの提案がきっかけです。本かなにかで知ったようです。家族全員で話し合い、申し込みました。そしてこれまでに7頭の犬たちが我が家で過ごし、小学生だった子供はもう社会人になりました。
渋谷:リタイヤ奉仕をしていました。昨年天寿をまっとうした愛犬の面影がいえることがなく、もう2度と同じ思いはしたくないということで、今度は子犬をお預かりしてみました。静かな生活から一転して、動き回る生活が始まりました。
松本:犬が大好きで大好きで! でも主人が転勤族でしたので、犬を飼えませんでした。ある時、雑誌で飼育奉仕の事を知り、二年間の飼育なら出来そう!」ということで始めました。それから15年間、犬のいない生活はなく、現在9頭目の子犬が我が家の一員です。
犬を育てるうえで、いちばん気を付けていることはなんですか?
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深川:それは、もちろん健康状態です。健康面には、細心の注意をはらっています。少しでも気になることがある時はもちろん、元気な時でも3ヶ月に1度、病院で健康診断を受けています。
渋谷:今は、何事もなく元気に成長して欲しいということです。見る物何でも口にしますので、片時も目が離せません。日々大きくなり、手の(口の)届く範囲も広くなり毎日犬との知恵比べで、まだ振り返る余裕がありません。
松本:大切なお預かりものですから、事故に合わないようにということです。15年間多くの犬を見ていますが、アイメイトの子犬は、ペットショップで売られている子犬とはあまりにも違います。犬好きには魅力的な子犬です。また、交通事故にあったりしたら取り返しがつかないし、なにしろ犬の安全を第一に考えています。
今までの体験から、アイメイトに向いている犬とは、どのようなタイプですか?
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深川:7頭を育てましたが、未だによく分かりません。と言いますのも、とても扱い易くて自身をもって協会へお返しした子なのに、結果は不合格だったり、その逆で時間がかかるだろうと思っていた子がすんなり合格してしまったりということが、何度もあったからです。
渋谷:リタイヤ奉仕でお預かりした犬は大変静かでした。 アイメイトになる子は、小さい時から、静かでいい子とばかり思っていましたので、こんなに大変な体力のいる生活は想像以上でした。でも驚くほど賢いところには、さすがアイメイトの子犬だと感心しています。
松本:長い付き合いですが、よく分かりません。ただ、その犬の持って生まれた巡り合わせというものがあると思います。その子に合った生活環境の飼育奉仕の家庭で育ち、いい時期に別離に入って、気の合う指導員と組めて合格するラッキーな子。全ての巡り合わせが不運な子。それは、私たちではどうすることも出来ないことだと思います。
アイメイトの候補犬ということで、なにか特別に教えていることはありますか?
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深川:将来は、社会の一員として働くアイメイトですが、我が家にいる間は まず1頭の犬として、様々な経験を積ませてやりたいと考えています。そのためには、飼い主が「NO!」ということを絶対にさせないなどの最低限のことを徹底して守らせ、一年間を集しく、そして人間はいいものだと思えるように、人間への信頼を第一に接しています。
渋谷:これからが勝負だと思っています。いろいろ諸先輩の方々に教えて頂きたいと思っています。
松本:おやつを与えないということです。人間のものはもちろん、犬用のものも与えません。公園で他の犬が貰っていても絶対に与えません。貰えないものと教える事が大切だと思っています。あとは、その犬の性格をみて、良いとこるを摘み取らないように気を付けています。
忘れられないエピソードをお聞かせください。
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深川:7頭もお預かりすると、いろいろなことがありました。友だちのお嬢さんの エメラルドのピアスを食べてしまい、毎日ツーのチェックをしたことがありました。(ピアスは、無事発見されました) また、留守中に家の床板をはがされたり、柱をかじられたりして、家がボロボロになっています。が、これもひとつひとつが思い出です。飼育奉仕をリタイヤしたら、家を建て替えるつもりで、今は大らかに育てています。
渋谷:我が家に来て1カ月ですが、毎日何かしら事件が起きます。先日は、一人でゴソゴソしていたので何をしているのかと見ると、娘が2年前になくしたと思っていた指輪をかじっていました。おかげで、娘は大喜びです。
松本:シェパードを7頭育てましたが、共通するのは動いているものに大変興味を持つことです。朝、自転車通学の息子を見送った時、その後を追われ、引っ張られた私は電柱に激突しました。また、ラブラドールの特徴は、性格が明るく神経が太いことです。怒ってもナンノソノ。レースのカーテンにぶら下がるのが好きな子がいて、アッという間にカーテンは「のれん状態」になりました。まるで、大きな猫を飼っているようでした。
初めて飼育する人へのアドバイスを頂けますか?
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深川:7頭の経験があるといっても未だに知りたいこと、分からないことが沢山あります。1頭1頭が違いますから、一言でこうすればいいなんて言えません。最初の頃は、大切な預かり物という意識が強すぎたのか、責任が重くのしかかってきて「大変だな」という気持ちが先にありました。本に書いてあること、人から聞いたことに一喜一憂して疲れました。でも、最近は少し心に余裕が出てきたのでしょう! 自分も楽しんで過ごしています。いい加減でだらしない飼い方では問題ですが、マニュアル通りに飼育することにこだわり過ぎるのは、犬にも人間にもあまりいいことではないように思います。
松本:始めが肝心ということことかしら!? 最初の日から2週間位を甘やかすと後が大変になると思います。まず食事の時の 「sit」と「wait」。できなくても声をかけます。いつの間にかできるようになり、待つことを覚えるところから始めるのが良いかと思います。
最後に、上手な犬との別れ方は、ありますか?
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深川:これは何度経験しても、憤れることはないですね。ただ、次の子をすぐにお預かりできれば、その忙しさで寂しさを紛らわすことはできます。犬の性格もいろいろで、お迎えの車に喜んで乗り込む子や、気配を察して、なかなかそばに寄ってこない子、車の窓からじっとこちらを見ている子……と、さまざまです。でも、私たち飼育奉仕者にとってなにより嬉しいのは、自分の家で育てた子が晴れてアイメイトとして活躍してくれることですから、笑顔で送り出してやりたいと思っています。
渋谷:今から覚悟はしています。が、先日我が家に来て1カ月が過ぎ、残りを数えると……自信はありませんが……。
松本:こればかりは、どうしようもないイヤなことです。でも、死に別れではなく、元気なうちの別れですから……。アイメイトになってもならなくても皆に可愛がられることでしょうし……。あとは、協会で上手く仕上げて頂くだけ!と見送ります。最初から、お預かりしているひとを肝に銘じて、いつかは、お返しする日が来るのですから……。
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